【個展ステートメント】
子供の頃、宝物が落ちていないかとよく草むらや地面を見ていた。
ビー玉やガラスの欠片、何かキラキラしたもの、変わった形の石ころ、
そういったものが心をわくわくさせた。
生い茂った草むらを掻き分けて歩くと、今までうんともすんとも言わなかった繁みの中から
ぴょんぴょんとバッタや虫たちが跳ね飛ぶ。
驚きつつも楽しくなりわざと大きく歩いたりしていた。
先日、庭を見ながら
植えた記憶があるもの、どこからか(鳥なのか風なのか)運ばれてきて自生しているもの、
そこにはいつの間にか様々な植物が伸びていた。
いつからかバッタもいるようになり、小さなトカゲも住み着いた。
そこにガサガサと入っていき、何か見知らぬ面白いものはないかと地面を見る。
庭という管理下にあるもののなかでそれを超えて膨張する生命力と
そこに対して、知らない別の宇宙に入り込むような感覚。
太陽が昇り、朝陽を浴びる草木はその光を煌々と取り入れる。
その光はまるで隣合うものとの境界線のようだった。
その光り輝く境界線は、分断しているようにも隣接しているようにも、
そして、繋ぎ合わせているようにも見えた。
2024年11月 住吉明子